動画に付ける声を、AIで早く作れるようになりました。ただ、完成した音声ファイルだけを受け取っても、後から広告に使えるか、別の商品へ使い回せるかは分かりません。どの声を、何の条件で使うのかを、発注の時点で確かめておきましょう。
01 ガイドラインが分けている、声を扱う段階
日本俳優連合は、音声に関する生成AI利用ガイドラインを発表しました。実演家の声を扱う際の、学習、生成、公開・利用の各段階での許諾などを示しています。[1] これは日俳連が示す自主的な基準であり、法律そのものと同一ではありません。
発注者にとっての出発点は、「AIを使った」という説明だけで終わらせないこと。収録した本人の声をモデル化したのか、音声サービスの既存の声を使ったのかなど、制作方法と確認先を明らかにします。
02 発注書に添える、五つの確認
①使うサービスと音声の名称、②声の出所と利用許諾の確認者、③対象の商品・媒体・期間・地域、④言い換えや別商品への転用条件、⑤納品後のデータ管理と停止時の連絡先。この五つを制作会社と書面でそろえます。
音声サービスを利用する場合は、契約プランで商用利用や広告利用が認められる範囲を、その時点の規約で確認します。制作会社が確認したなら、規約のURL・確認日・該当条件も受け取ると、担当者が交代しても追えます。確認できない条件は、利用できるものとして扱わず保留にします。
| 後からやりたくなったこと(説明用) | 最初の合意と照合する箇所 |
|---|---|
| 会社紹介の音声を、商品の広告へ使う | 広告・宣伝での利用と、対象となる商品が許諾の範囲にあるか。 |
| 長い動画を、別のセリフの15秒広告へ変える | 編集・再生成の条件と、変更するセリフを誰が承認するか。 |
| 別の媒体や地域でも配信する | 利用する媒体・期間・地域の追加条件。手元に音声があるだけでは判断しない。 |
03 15秒版を作るときも、最初の条件へ戻る
例えば、架空の企業が会社紹介動画のナレーションを発注したとします。後日、その音声から商品広告の15秒版を作りたい。このときは、元の利用条件に広告利用・編集・対象商品が含まれているかを確認します。「音声ファイルが手元にある」ことと、「新しい用途に使える」ことを分けるためです。
日俳連のガイドライン本文では、広告・宣伝での利用や、目的外の再編集・別媒体への追加利用についても条件を示しています。[2] 個別案件では契約・権利関係を確認し、判断が分かれる内容は制作会社や法務担当者と詰めます。
04 「誰の声に聞こえるか」も、ブランドの判断にする
条件を確認した後は、話す速さ、固有名詞の読み、伝える温度感を確認します。特定の有名人に似ていることを発注理由にせず、そのブランドとして何を、どう伝えたいかを決める方が、修正の理由も明確になります。
声の利用条件と、ブランドとしての聞こえ方をセットで引き継ぎます。完成音声、使用原稿、読み方の指示、利用条件の記録を同じ案件フォルダへ。次の一本を作るときに、迷うところから始めずに済みます。
根拠・参考資料と、この記事の見方
日俳連の自主的なガイドラインの紹介と、HYPEUPによる発注確認の提案です。特定のサービスの利用可否や、個別案件の法的結論を示すものではありません。 出典の確認日:2026年10月21日。
[1] 日本俳優連合:音声に関する生成AI利用ガイドラインの発表
[2] 日本俳優連合:音声に関する生成AI利用ガイドライン全文(PDF、第3部等)
表紙は記事のテーマを表す生成イメージです。実際の商品・店舗・出演者・取材現場の写真や再現画像ではありません。


