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Snow Manのお菓子缶。カルビーはなぜ、応募にアプリを使うのか

カルビーが起用理由に挙げた、9人でいるときの楽しさ。「いっぱい食べてくれて39」という感謝から、応募後も残るアプリの接点まで。応援する買い物と、好きなお菓子が増える関係を読み解きます。

Snow Manのメンバーとmiino・クリスプ、景品のお菓子缶が並ぶ39キャンペーンの公式告知。

冒頭画像:カルビー/39キャンペーン公式告知(10月26日開始)。本文で、この告知と景品の見せ方を解説します。

Snow Manの写真が入ったお菓子缶が欲しい。応募のためにmiinoやクリスプを買い、食べ終わった袋を折りたたみ、カルビーのアプリで撮影する。景品を目指す人の手元では、ごく自然な一連の行動です。

好きな人が広告に出ているから、一度食べてみる。その応援を、メーカーはどう受け止め、次の楽しさを返すのか。今回は、Snow Manを選んだ理由と、応募した後にも残るアプリの両方から見てみます。

カルビーの「miinoとクリスプをいっぱい食べてくれて39キャンペーン!」は、2026年10月26日に開始。対象商品の購入でスタンプをため、4個ごとに応募すると、抽選で1,000人にオリジナルのお菓子缶が当たります。応募は12月16日23時59分までです。[1]

Snow Manデザインのふたとmiino・クリスプの入ったお菓子缶のイメージ。
画像引用:カルビー/景品のお菓子缶の公式イメージ。景品は公式のイメージ。商品と人物写真を一つの缶へまとめた表現を本文で解説しています。 拡大 ↗

冒頭の告知では、メンバーが「39」のカードを持ち、miinoとクリスプが一つの企画に並んでいます。景品の缶にも、その二つの商品が一緒に入る。好きな人をきっかけに、普段は買っていない方の商品へ手を伸ばす場面も考えられます。この組み合わせを、購入後の関係まで追ってみます。

なぜSnow Man?カルビーが選んだ、9人でいるときの楽しさ

「人気グループだから」だけでは、この起用の理由を言い尽くせません。2025年3月27日のクリスプの新CM発表会で、ブランドマネジャーの木本知甫氏は、歌やダンスに加え、テレビ番組でメンバーが仲よく楽しそうに活動する姿を評価し、商品を楽しく伝えてほしいとオファーした、と説明しています。[4]

クリスプが公式サイトで打ち出すのは「ザクっとたのしく!」。メンバー同士のやり取りを見て、こちらまで笑ってしまう。その楽しさと、お菓子を食べて気分が弾む時間を重ねたい、という起用だったと読めます。[5]

当時の取材記事には、その持ち味が伝わる場面もあります。向井康二さんがCMのポーズについて、頼まれたからやっただけという顔をしてみせると、佐久間大介さんが、鏡に向かって練習していたと明かす。新しいお菓子の発表が、メンバーの一言で、9人の掛け合いを見て笑う時間に変わるのです。[6]

Snow Manを起用した2025年春のクリスプのCMは9種類。miinoでも2025年から「スノーマメ」として出演し、公式サイトには当時のCMやWeb動画が残されています。今回のお菓子缶は、二つの商品で続けてきた共演の先にあるものです。[4][7]

ファンが好きで見てきた、9人でいるときの空気を、商品を伝える力としてカルビーも選んでいた。そう知ると、いつもの買い物で手にする一袋にも、少しうれしい理由が増えるのではないでしょうか。

「いっぱい食べてくれて39」。応援する買い物にも、ありがとうが返ってくる

今回の名前も、改めて読むといい。「いっぱい食べてくれて39」です。公式サイトには、miinoとクリスプを食べてくれたことへの感謝が書かれています。これから買う人を募る企画の入口で、すでに選んでくれた人へお礼を言っているのです。[1]

Snow Manをきっかけに買い始めた人にとっても、自分の買い物が、その「ありがとう」の中に入る。CMで新しい姿を見られることがうれしくて、商品を試してみる。食べて気に入り、また買う。その一袋一袋を、メーカーも受け止めてくれていると感じられる言葉です。

ファンの応援を買う力として数えるだけなら、企画は味気なくなります。メンバーが楽しそうに商品を紹介し、ファンが食べて楽しみ、メーカーが感謝を返す。この往復が続くことにこそ期待したい。では、そのやり取りを今回限りで終わらせないために、なぜアプリが必要なのでしょうか。

商品は売れても、メーカーには買った人の顔が見えにくい

スーパーやコンビニで菓子を買うとき、私たちは通常、メーカーへ名前を伝えません。メーカーは出荷や販売の数字を把握できても、一人の人がいつ、どの商品を、繰り返し選んでいるかまで直接知るには、別の接点が必要になります。

キャンペーンのはがきも、その接点の一つでした。応募券を送ってもらえば、その商品を買った人と出会える。しかし、次の企画が始まるたびに、また応募してもらうところから関係をつくることになる。応募の情報を、次のやり取りへ生かす仕組みがなければ、その一回で終わってしまいます。

カルビーは2020年9月、空き袋を折りたたんでスマートフォンで読み取る「カルビールビープログラム」を開始しました。公式サイトには、商品の購入から袋の読み取り、ポイントの獲得、企画への参加までがつながる仕組みが示されています。[2]

空き袋を折りたたんだ折りパケの公式説明画像。
画像引用:カルビー/39キャンペーンの応募方法。 拡大 ↗

袋の裏面を一定の形にして撮る、という少し変わった手順です。メーカーから見れば、商品パッケージが、売った後にもう一度会うための入口になる。ユーザーから見れば、食べ終わって捨てる物が、次の楽しみにつながる物になります。

アプリでつながると、次の買い物まで追える

ここで出てくるのが、CRM(顧客との関係を管理し、継続するための取り組み)です。システムの名前だけを指す言葉ではありません。一度買ってくれた人を覚え、その人と次にどう関わるかを考える仕事です。

ルビープログラムでユーザーが商品の登録を続ければ、単発の応募者一覧よりも長い履歴が残ります。例えば、ある企画をきっかけに参加した人が、別の商品も登録したのか、次の月も利用したのか。そうした変化を追えるようになります。ここで分かるのはアプリに登録された範囲の行動であり、買い物のすべてではありません。

このように、企業がユーザーとの直接のやり取りから得るデータを、ファーストパーティーデータと呼びます。今回なら、広告を見る人の属性を外部から推定するだけでなく、自社の企画に参加した人の登録履歴を、自社の接点で持てることが特徴です。

折りパケをアプリで撮影してスタンプを獲得する公式説明画像。
画像引用:カルビー/39キャンペーンの応募方法。 拡大 ↗

ただ、履歴がたまることと、関係がよくなることは同じではありません。ユーザーには、登録してよかったと思える次の楽しみが必要です。ここでカルビーが、通知を増やす以外に何をしてきたのかが気になります。

値上げの時代に、値段だけで選ばれない関係をつくる

その理由を、カルビーのCX推進部長・野堀和哉氏が、9月24日公開の公式インタビューで語っています。原材料価格の高騰で価格改定をお願いする場面が増える中、商品や会社が好きで選び続けてもらう関係が、以前にも増して必要になったという説明です。[3]

これは、ファンづくりがきれいごとだけで進んでいるわけではない、という話でもあります。いつも安いことを約束するのが難しいからこそ、その会社の商品を買う理由を、価格以外にも育てたい。企業の事情が、関係づくりを切実な仕事にしています。

同じインタビューによると、ルビープログラムの会員は約140万人。カルビーは2024年から全国でファンミーティングを開き、基本的に30〜35人ほどの小規模で、社員と話せる時間を重視しているといいます。人数を増やすことより、一人と交わせる言葉を増やす方を選んでいるのです。[3]

カルビーかいつかスイートポテトで開かれたファンミーティングの様子。
画像引用:THE CALBEE/2026年5月31日のファンミーティング写真。 拡大 ↗

大量に売る菓子メーカーが、少人数で集まる。その落差が、この取り組みをよく表しています。広告なら、同時に大勢へ伝えられる。一方で、商品のどこを好きなのか、何に驚いたのかを聞き返すには、人と話す時間が要る。アプリでできた接点の先に、その時間を用意しています。

野堀氏は、ファンミーティングの前後それぞれ3カ月の購買量を比べ、参加後に増える傾向も見ていると説明しています。アプリで接点を持っていれば、会場で盛り上がったところで終わらず、その後に登録される商品も追える。人に会う企画と購入の履歴が、同じ仕組みでつながっています。[3]

好きな人を応援する買い物から、好きなお菓子との出会いへ

今回の企画には、役割の違う二つの仕組みがあります。期間限定の景品は、今、買う理由をつくる。共通アプリは、今回の応募が終わった後にも、別の企画へ参加できる接点を残す。同じ購入を入口にしながら、働く時間の長さが違います。

その入口に、9人の楽しさを知っているファンがいる。好きな人の景品が、初めての商品を試すきっかけになる。その商品がおいしければ、次に棚で見つけたときの記憶になる。さらに、商品をつくる人に会えれば、会社への親しみが加わる。応援する気持ちから始まった買い物が、自分の好きな物を増やす機会にもなるわけです。

応募期間が終わった後にも、「あのお菓子、また食べたい」と思えるか。今回の成果はこれからですが、応募件数の先にある、その一回の買い物まで育ててこそ、アプリでつながる意味があると思います。

私は、カルビーがファンに直接会うところまで進んだことに期待しています。買った記録が増えるだけのアプリより、商品をつくる人の顔が見える方が、また買う楽しみは増える。ファンの熱量を受け取る企業には、その熱量に見合う楽しさを返してほしい。

好きな人の缶を手に入れたい、という小さな願いから始まる買い物。その先で「この商品、また食べたい」「カルビーの次の企画も見てみたい」と思えるか。今回のキャンペーンは、景品が届いた後まで見届けたい企画です。

根拠・参考資料と、この記事の見方

確認日:2026年10月26日。会員数やファン施策の説明は、2026年9月24日公開の担当者インタビューによります。会員数はダウンロード数・全購入者数とは区別します。起用理由は2025年のクリスプ発表会における担当者の説明で、miinoや今回の企画の起用決定について同じ発言があったとは扱いません。ファンの受け止め方と企画のつながりは、発表された内容に基づく編集上の解釈です。全ファンの感情や、購買が契約継続を決めたという因果は確認していません。今回の施策の成果や、ファンミーティングの因果効果も未確認です。写真は公式資料の引用で、発表会や会場をHYPEUPが取材したものではありません。

[1] カルビー/39キャンペーン公式。景品・期間・スタンプ・応募条件。

[2] カルビー/ルビープログラム公式。折りパケ・登録・参加の仕組み。

[3] THE CALBEE/CX推進部長・野堀和哉氏の公式インタビュー。2026年9月24日。

[4] Edge Line/2025年3月27日の発表会取材。ブランドマネジャー・木本知甫氏が語った起用理由とCM9種類。

[5] カルビー/クリスプ公式。「ザクっとたのしく!」の訴求とブランドの歩み。

[6] Edge Line/同発表会の現場取材。向井康二氏・佐久間大介氏らのやり取り。

[7] カルビー/miino公式。2025年からのCM・Web動画と2026年の告知。

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